2015年4月5日日曜日

book312 『13階段』 高野和明 (2001)

「社会に対して何らかの負債を持つ人間が、
それを背負いつつも社会の(または他人の)ために生きることはできるか」
―宮部みゆきの解説より


【概要】                    

喧嘩で人を殺した仮釈放中の青年と、犯罪者の矯正に絶望した刑務官。彼らに期限は3カ月、報酬は1000万円の仕事が持ちかけられた。それは、記憶を失った死刑囚の冤罪を晴らすことだった。第47回江戸川乱歩賞受賞作品。

【読むきっかけ&目的&感想】               

高野和明の『ジェノサイド』がとても面白かったので、他を読んでみたくなった。著者名でアマゾン検索し人気度で並べ替えしたら、本書『13階段』がトップにあがったので、『ジェノサイド』より面白いかもしれない♪と思い読んでみた。

さくら好み ★★★


気楽に読み始めたんだけど、いや、ミステリーとして気楽にも読めるんだけど、「冤罪」や「死刑制」にまつわる事柄が色々な背景を持つ登場人物の視点で語られるので、段々と気重になりながら読み進めた。

仮釈放中の青年や武骨で真面目な刑務官のような環境に私はないが、彼らの感じているような疑問や違和感を感じることが犯罪ニュースに接するときに多々あるので、ミステリーとしての展開とは別に、彼らが抱えている感情や悩みをどうしていくかに凄く興味を惹かれた。

【備忘録】                                       

・刑罰は何のためにあるのかという問題

時折しも、南郷は昇進の最初の関門である中等科試験合格を目指して、猛勉強を始めていたところだった。その過程で学んだ、刑法史に残る歴史的論争が頭をかすめた。近代刑法の揺籃期、ヨーロッパ大陸で、刑罰は何のためにあるのかという問題をめぐって激論が交わされていたのである。

それは犯罪者への報復であるとする応報刑思想、一方には、犯罪者を教育改善して、社会的脅威をを取り除くという目的刑思想。この二つの主張は長い論争の末、両者の長所を止揚させる方向で決着した。そして現在の刑罰体系の基礎が作られた。

だがもちろん、それぞれの国の法律によって、どちらに主眼を置くかの違いはある。欧米諸国の多くは応報刑思想に、一方、日本は、目的刑思想に傾いていると言える。